女性の閉経前5年と閉経後5年を合わせて【更年期】という言い方をします。
この更年期の時期にはホルモンバランスの変化が大きくそれが要因となり体に様々な不調が起こりやすいです。
またこの更年期の中で特に病気を伴わない不定愁訴などをまとめて【更年期障害】と呼びます。
更年期障害にはイライラしやすい、何もしていないが体がほてる、めまい、頭痛、動悸、肩こりなどの症状が生じやすいですがその人の体の体質などによって生じやすい症状も変わってきます。
今回は体の体質を東洋医学的なタイプに分類しそのタイプに生じやすい症状をまとめて解説していきたいと思います。
●更年期障害とは?
上記しましたが女性の閉経前5年と閉経後5年の期間を更年期と呼びます。
女性の閉経はだいたい早い方では40代前半、遅い場合でも50代後半までには迎えることが多いです。
この閉経前後を迎えると体の中ではホルモンバランスの変化が大きくなりそれに伴い感情が不安定になったり、動悸、息切れ、倦怠感、めまい、不眠、体のほてりなどの様々な症状が生じやすくなります。
このような閉経前後のホルモンバランスの変化によって体に様々な症状が生じることを『更年期障害』と呼びます。
更年期障害は特に「身体的要因」「社会的要因」「心理的要因」などのことが複雑に絡み合い生じるので原因がわからずに症状が長期にわたって続いてしまうという方も多いです。
一般的な治療では薬を用いて症状を緩和させたり心理療法を行ったりする場合が多いようです。
●こんな症状には要注意! 更年期障害と似ている疾患
更年期障害の症状は体だけに留まらず心などにも生じます。
いろいろな症状が起こる更年期障害ですが中には更年期障害と似ているけど違う疾患が原因で生じている症状もあります。
その代表例が『甲状腺疾患』です。
例えば甲状腺の機能が過剰になり甲状腺ホルモンの分泌量が異常に増えてしまう『バセドウ病』
この疾患は甲状腺ホルモンが異常に多く分泌され動悸や発汗異常、ほてり、疲れやすいなどの更年期障害の症状と似たような症状が生じます。
またその逆で甲状腺の働きが低下する『橋本病』では無気力や気分の落ち込み、体の冷えなど、こちらも更年期障害と似たような症状が生じる疾患です。
これらの疾患は症状が似ているために自分で判別することが難しいです。
甲状腺疾患の場合甲状腺ホルモンの分泌量を検査すれば鑑別は容易にできますので自分ではよくわからなかったり不安な場合には医療機関で症状を伝え検査してもらうと不安も解消されるのでよいでしょう。
その他にも不安感や気分の落ち込みなどは「うつ病」と症状が似ていたり、めまいや耳鳴りは「メニエール病」と症状が似ていたりしますので不安な場合はしっかり鑑別するためにも医療機関で検査を受けるようにしましょう。
●タイプ別! 更年期障害で生じやすい症状
◆タイプ1 肝の乱れ
《生じやすい症状》
髪の毛が抜けやすい 爪が脆くなる 目が充血する イライラしやすい
肝とは東洋医学で肝臓のことを指しますが肝は血液を蔵しているとも言われ血液との関係が深い臓器です。
この肝が乱れてくると上記したように髪の毛が抜けやすくなったり目が充血して赤くなりやすかったりイライラしやすくなったり逆に気分が落ち込んでしょんぼりしたりと不安定な感じになりやすいなどの症状が生じやすくなります。
さらに肝は目にも関係があるとされており肝が乱れると目が乾燥しやすくなったり充血する、涙がよく出るなどの症状も生じやすいです。
◆タイプ2 心の乱れ
《生じやすい症状》
動悸、息切れ 不眠 精神障害
心は心臓のことで東洋医学では心臓から血液を送りだす機能をコントロールしていたり全身の臓器を統括し精神をしっかり保たせるような働きがあります。
更年期障害で心が乱れるとこれらの作用にトラブルが生じ心臓からの血液の拍出をうまくコントロールできずに動悸が生じたりそれに伴う息切れ、さらに全身を統括し精神を保たせる作用も弱まり精神障害が生じたり不眠が生じたりすることもあります。
◆タイプ3 腎の乱れ
《生じやすい症状》
のぼせ 顔面、手足のほてり 手足の冷え
腎とは腎臓のことで東洋医学では生命を維持するエネルギーを蔵している機能がある部位です。
腎の場合は乱れると言うよりも機能が衰退していることがほとんどで衰退することで体を温めるエネルギーなどが低下し手足の冷えなどが生じやすくなります。
冷えも特に膝から下全体が冷えていることが多いです。
腎の中でも『腎陽』と『腎陰』とがあり腎陽の体を温める作用が低下すると手足の冷えが生じやすくなったり腎陰の体を潤す作用が低下するとのぼせ感が生じやすくなったり両方とも低下している場合には手足が冷えたりのぼせがあったり寒かったり暑かったりするようなことが増えます。
●まとめ
更年期とは女性の閉経前後5年の間の期間を指しその間に生じる疾患に該当しない様々な不定愁訴などをまとめて【更年期障害】と呼びます。
更年期障害は女性ホルモンが乱れて生じることが多く手足の冷えや動悸、のぼせ感、不眠、精神異常、イライラしやすいなどの様々な症状が生じやすいです。
様々な症状が生じるため他の疾患の症状との見分けがつかないこともあり何か違和感がある場合や不安な場合は専門の医療機関でしっかり検査をすることが大切です。
東洋医学ではその人の体質などからいくつかのタイプに体を分類することができそれぞれの生じやすい症状などを知ることができます。
自分自身のタイプを知ることで生じやすい症状を把握できたり改善できるポイントなどが見えてきますので是非ご参考にしてみてください。