運動すると肘が痛む・・・上腕骨外側上顆炎について

柔整治療

テニスやゴルフ、野球などのスポーツのオーバーユースでよく見られるのが肘の内側上顆炎や外側上顆炎です。

その方が行っているスポーツの種類や負荷がかかる部位によって疾患名が『テニス肘』であったり『野球肘』であったりと変わることもあります。

ここでは腕の骨である上腕骨の外側に負荷がかかったりして炎症や痛み、運動制限を生じる『上腕骨外側上顆炎』についてまとめていきたいと思います。

●上腕骨外側上顆炎とは?

まずこの疾患についてですがよく『テニス肘』と言われることが多いです。

同じような疾患で『野球肘』と言う疾患がありますがこの2つは同じ疾患なのでしょうか?

この2つの疾患は発生機序的には似ていますが違う疾患です。

●野球肘

野球肘は『上腕骨内側上顆炎』と言う疾患です。

野球肘は主にボールを投げると言う動作のやりすぎで上腕骨内側上顆に起始を持つ屈筋群(手首を曲げる筋肉達)がその起始部の内側上顆に過度なけん引力などのストレスを加え、結果炎症を引き起こし痛みや熱感、運動制限などを伴う疾患です。

野球をする人にしか発症しないと言うわけではなくこのような機序で野球をする人に多いので『野球肘』と呼ばれています。

またゴルフをする人にも同じような機序で発生しやすいため『ゴルフ肘』と言われることもあります。

日常生活の中でも同じような屈筋群の繰り返しのストレスで内側上顆に炎症や痛みが生じることは少なくないです。

●テニス肘

テニス肘は『上腕骨外側上顆炎』と言う疾患です。

テニス肘は公式テニスのバックハンド時や使い過ぎ、初心者などでボールをラケットの真ん中でとらえられず隅でとらえてしまい振動が外側上顆や伸筋群に負荷を与えたりして生じる疾患です。

野球肘が屈筋群の使い過ぎで内側上顆に負荷がかかるのに対してテニス肘は伸筋群の使い過ぎで外側上顆に負荷がかかる疾患です。

同じテニスでもソフトテニスではバックハンド時に手を返して手のひら側でボールを打つのでそこまで伸筋群に負荷が無くあまり発生しないとされています。

テニス肘もテニスをする人に多いためテニス肘と呼ばれていますがテニスをしていない人でも外側上顆や伸筋群に負荷がかかるようなことが続けば生じることはしばしばあります。

このことを踏まえて『上腕骨外側上顆炎』とは外側上顆を起始に持つ伸筋群の使い過ぎなどにより外側上顆に炎症が生じて熱感や痛み、運動制限を伴う疾患です。

●症状

主な症状は『炎症や熱感』、『痛みに伴う運動制限』などです。

外側上顆に起始を持っている前腕の伸筋群は手の甲を上に挙げたり指をピンッと伸ばすような作用があります。

そのような運動の際に炎症を起こしている外側上顆に負荷がかかり周辺に痛みが生じます。

日常的な例としては・・・

●ぞうきんを絞る時

●買い物袋などを持つ時

●洗濯物を干す時

                           などに痛みが見られます。

●鑑別、テスト法

そんな上腕骨外側上顆炎ですが似たような疾患と鑑別するためいくつかテスト法があります。

①椅子テスト(チェアーテスト)

このテスト法は椅子を持ち上げてその時に痛みの有無を確認するようなテストですが椅子を持ち上げる時は腕だけで『つまむような感じ』で持ち上げます。

この時に外側上顆に痛みなどが生じた場合を陽性とします。

②中指伸展テスト(ミドルフィンガーエクステンションテスト)

このテストは中指を伸展(ピンッと伸ばす動作)する時にそこに抵抗を加えるテストです。

中指で行わないとあまり意味がないのでこのような名前が付いています。

抵抗を加えた際に痛みが生じた場合を陽性とします。

③トムゼンテスト

こちらは肘を伸ばして手首を反らすような状態にしてその手首を術者が下に押すように抵抗をかけます。

その時に痛みが生じた場合を陽性とします。

外側上顆炎には3つほどテスト法がありますがどれも共通して『伸筋群を使わせてその状態に負荷をかける』ようなテストです。

これにより内側上顆炎や骨折、その他の軟部組織損傷と鑑別ができます。

●治療法

主に保存療法が行われます。重症の場合や保存療法で効果が見込めない時はオペを行ったりすることもあります。

保存療法では使い過ぎで緊張し外側上顆に負荷をかけている『前腕伸筋群』を弛緩させ負荷を軽減させます。

炎症が生じて熱感がある場合などはアイシングや固定を優先して行う場合もあります。

ストレッチやマッサージなど筋肉の弛緩を目的とした治療が行われます。

また整形外科などでは痛みに対して『ステロイド注射』を行うこともしばしばあります。

※テニス肘バンド

テニス肘などの場合にはよく『テニス肘バンド』を進められることがあります。

テニス肘バンドは痛みが生じている方の腕に巻いて軽く筋肉を圧迫することで外側上顆にかかる負荷を軽減することを目的としたサポーターです。

このサポーターは『きちんとした位置で巻くことで効果を発揮します』!

痛みが生じている外側上顆の部位、つまり肘のでっぱりの部位にバンドを巻く方が多いです。

ですがそれでは筋肉の起始部に巻いてしまっているのであまり効果がありません。

痛みが生じている外側上顆から手首側にだいたい指2.3本分行った部位に巻くのが正しい位置です!

この部位に巻くことで緊張している筋肉のテンションを軽減することができ結果的に外側上顆への負荷も軽減します。

日中活動する時はサポーターを着用して過ごすことで痛みを和らげることができるでしょう(#^^#)

ですがこのサポーターのみで治癒することはありませんのでしっかり保存療法を継続する必要があります。

『テニス肘バンド』

●まとめ

今回はテニスなどでよく生じる『上腕骨外側上顆炎』についてまとめました。

テニス肘と言ってもテニスをする人にしか発生しないわけではなくその原因は腕の伸筋群が使い過ぎなどにより過度に緊張し起始部である上腕骨外側上顆に負荷をかけ炎症や痛み、運動制限を生じてしまう疾患です。

日常生活内でも発生することもあり治療は主に保存療法で筋肉を弛緩させることが多いです。

テニス肘バンドなどのサポーターも使いながら経過を観察していきます。

もしも日常的に腕をよく使ったり、スポーツなどでオーバーユースをしていたりして肘の外側が痛かったり熱感があったりする場合は上腕骨外側上顆炎の可能性がありますので専門の医療機関を受診し早めに治療を受けるこをおススメします(*^^*)

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