ボウエンテクニック

身体の筋膜や自律神経系などを用いて機能回復や症状緩和などを図る施術の一つとして『ボウエンテクニック』と言うものがあります。

ボウエンテクニックはオーストラリアのトムボウエンによって生み出され、約60年ほど前から行われてきた施術方法です。

このボウエンテクニックの特徴は軽い刺激、治療中に『休憩』を入れる、痛みを全く伴わせないことなどです。ボウエン自身が認めたセラピストは全世界に約4万人ほどいると言われていますが日本ではまだまだなじみの少ない治療法です。

ボウエンテクニックは患者の皮膚に軽く触り(眼球を押して辛くならない程度)ローリングタイプの手技(軽く圧迫して転がすような手技)を施します。そして皮膚、筋肉を適度に緩ませつつ様々な圧迫を加えます。

●禁忌

ボウエンテクニックは基本的に健康状態、年齢、性別などを問わずに用いることができる手技ですが禁忌が2つあります。

①妊娠中の尾骨へのアプローチ

この部位は特に絶対的なデータがあるわけでもなくどちらかと言うと近年の研究で妊娠中の尾骨へのアプローチは安全とされていますがボウエンテクニックでは禁忌部位としています。

②豊胸手術を受けた女性の胸部に対するアプローチ

こちらも絶対的なデータがあるわけではありませんが施術後に施術部位のこわばり、痛み、違和感、今ある痛みの増加、疲労、インフルエンザ様症状が出現することが多くあまりこの部位には施術を行いません。

●治療中に患者を一人にする時間がある

ボウエンテクニックでは自律神経系にもアプローチを加えます。先ほど記載した3段階の皮膚、筋肉を適度に緩ませ、適切な圧を加えその選択した軟部組織上にローリング様の手技を行いますがその治療の間に中枢神経系に反応を与えるための『休憩』を行います。その休憩とは治療室を患者一人にし術者は退出します。そして患者にとって副交感神経優位の時間を与えます。この休憩もボウエンテクニックの特徴の一つです。この休憩中に患者は筋肉がピクピクと動いた、お腹の蠕動運動が亢進したなど様々な効果が起こります。これは緊張状態から急に環境を変化させたりすることで自律神経系を刺激することが要因の一つです。

●様々な治療効果

ボウエンテクニックでは研究の活発的に行われています。

脳卒中慢性期の患者に対してボウエンテクニックを行ったところ運動機能、健康に対する優位的な改善が見られた半面握力の低下が見られたケースもありました。

また関節の可動域に対しての効果を調査するためにボウエンテクニックを1回行いハムストリングスの柔軟性がどう変化するかを調べました。その結果ハムストリングスの柔軟性は増加しその効果は約1週間続いたとされています。

●ボウエンテクニックが組織にもたらす効果

実はボウエンテクニックはまだまだ解明されていないことが多いです。その中でボウエンテクニックの最も一般的な仮説としては『固有受容器』と『内受容感覚』とされています。

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